笛蔵 五

美しい紋様のある「変種の女竹」 自生地発見!

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2004年5月








永年静岡県遠州地方の各種の竹薮を採取に歩いていて、この度珍しい女竹の自生地を見つけました。
近くには人家も有る山際の女竹の群生している場所です。いつもの様に笛の材料を探しに
藪に入って行って物色していると、黒ずんだ竹が部分的に生えています。明らかに女竹ですが
よく観察すると黒く見えたのは、濃い緑の竹の稈に黒の無数の班が出ているのです。
それは蟻の様でもありゴマの様でも有り、これまで私は見たことが無い竹で少し興奮気味。
変わったものに直ぐ関心を持つ癖が目を覚ましました。女竹の群生するこの場所全部を調査しますと、
この変わり種は、およそ四百坪程の竹薮の内、二十坪程に所々に生えていました。






2004年秋、幾本か実験のため伐採してきました。二ヶ月乾燥させた結果画像で御覧のように
見事な紋様が残りました。青い地肌の部分は白っぽく、黒の班の部分は濃い茶色になって
美しい紋様が出ました。






懇意にしている富士竹類植物園の柏木治次さんに鑑定して頂きました。曰く、「このような斑入りの
女竹は初めて」とか、「園内の500種の竹類の中にも未だ無い。このような変種が出来る要因は、
地中菌によるか、農薬によるものと考えられる。」と後日電話でご報告頂きました。
地中菌の説が正しければ移植しても、土壌の違いでこの竹の繁殖は不可能なこと。しかしやって見ないこと
には納得できません。性格です。しかたありません。移植のために力持ちを頼んで、掘り起こしにかかりました。






未だ寒い十二月と今年3月、二回移植を行いました。






我が家から6km、同じ浜松の郊外のうちの畑に移植。2005年5月現在、枯れないで緑を保っている。






この地に移して着床し、来春あたり筍が現われて、稈部に班の有る竹が出るか?否か?。
笛が高じて竹の栽培まで手がけようとは思いもよりませんでした。お陰で竹に関する造詣も深くなり、
勉強の範囲も広くなってますます笛に関する全てが楽しめて面白くなってきました。
体がもう一つ二つ欲しい、そんな忙しさです。これ以上贅沢はいえません。
今も人生五倍楽しんでいるのですから・・・。







紋竹の地下茎

移植の際に地中の根から出ていた地下茎ごと掘り起こし、そこには今春出る筈の筍も付いていて、
予想して居たとおり地下茎と筍にも班が見られます。






自家製で珍しい班入りの竹が出来れば、紋竹笛も限りなく製作出来る。
取らぬ竹の皮算用、希少価値によりマニアにとって堪らないです。
紋様の美しさは、各竹に見られる紋竹と呼ばれるものと異なって非常に工芸的な「天然の美」
が得られます。






◎紋竹と呼ばれているものには,真竹類等の他に雲紋竹(真竹類)、虎班竹、図面竹などがあります。
竹そのものの持つ性質で紋が現われるので移植で増やすことが可能。
いずれも地図のような染みが浮き出ます。

◎胡麻竹といわれる竹は表面にゴマ状のぶつぶつが出来ます。
バクテリアの仕業で生育している竹の枝葉を払って立ち枯れさせますとゴマが出ますので
人工的に作ることも出来ます。錆び竹はこの部類でしょう。






今回、発見した女竹の班は、1mm以下の小さな班から15mmの様々な大きさで無数の紋が
一定方向に並んで模様を成しています。
班の形は船形で、笹の葉のようで凹凸はなく滑らかな竹の稈をしています。
また、竹の表皮を削っても中までも紋様があります。
この紋竹は、探せばどこか他所でもいつか見つかるかも知れません。
調べてみましたら九州地方にも有ったようです。
貴方のお住まいのお近くの竹薮にあるかも知れません。全国どこにどんな環境にあるのか調べています。
この紋竹に詳しくご存知の方、ご教示下さい。
珍しい竹ですので未だ学会にも未登録やも知れません。ネーミングを考えても楽しいです。
見ていると「枝垂れ柳」か「川の流れ」のようにも見え、
いっその事、柳川竹としましょうか。(私の店柳川亭をもじって)
同じ紋竹でも班の出方が様々で、笛にした時には紋様を景色ととらえ笛の銘が沢山出来そうです。「花筏」はいかが?
(桜散って川一面に流れるさま)風流な笛の生徒さん、渡辺のり子さんからのご提案でした。
良い名ですね。御覧の皆様もよい名が有ったら写真見てお便り下さい。






紋竹を笛にしました。おそらくこの竹で篠笛や龍笛が出来たのは日本で最初かも?。
できばえに感激してます。(我田引水)
ひき続き私の笛の作品写真集を御覧下さい。紋竹笛は、音も良い音に仕上ました。
笛を愛好して、紋様の美しさがお分かりになるセンスある方に持って頂ければ、笛も私も幸せです。    
美しい音色の出る女竹は、笛になる為に有るような理想的形状であり、
自然に生えて居る竹薮の中での環境を知ってこそ、初めて笛や竹に対する愛敬の念が強くもたれます。
山や藪に礼を言って無駄にしないでよい笛を作ることを誓い、
持参の笛で一曲、頂いた竹を手に藪を後にします。






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